【分冊版】或る兄弟の話(単話)
案内人:真子(少女・青春恋愛の棚)
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「或る兄弟の話」。この「或る」というそっけない一語が、かえって雄弁だ。名前も背景もあえて伏せて、ただ「或る」とだけ告げる題名は、これが軽々しくは語れない関係なのだと、最初の一行から身構えさせてくる。
兄弟というモチーフを正面に据えている時点で、血のつながりや家族という枠のなかで持て余す感情が描かれるのだろう。すれ違い・幼なじみの棚にあるとおり、誰よりも近くで育ってきたからこそ越えられない一線がある——その張り詰めた距離が、物語の芯になりそうだ。分冊版・単話という形は、その重たい関係を一気に飲み込ませず、少しずつ呼吸をはかりながら近づいていける作りだとも言える。近すぎる相手だからこその息苦しさを、丁寧にすくい取るタイプだと想像する。
向いている人:家族という枠のなかで揺れる、緊張感のある関係性を読みたい人。重さや痛みごと味わいたい人。
少し注意:兄弟という設定そのものが地雷になる人は確実にいる。近親的な関係が苦手なら、ここで引き返すのが正直に賢明だ。分冊版なので、一話で話が閉じることはない。
語られにくいものを、それでも語ろうとする筆致。その「或る兄弟」の距離感に触れられるかは、まず冒頭で見極めてほしい。
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