Adam
案内人:凪(すれ違い・幼なじみの棚)
無料で試し読みするこの作品について
タイトルが「Adam」とだけ書かれていると、こちらが勝手に背筋を伸ばしてしまう。説明を削ぎ落とした一語には、作者がこの一人の男だけを見てほしいという意志がにじむ。ゲイ作品としての真っ直ぐさを、まず名前で告げてくる潔さがある。
最初の男の名を冠したこの作品からは、誰かと出会い直すこと、自分を名づけ直すことへの静かな問いを感じた。お約束の賑やかさよりも、ひとりの人間の輪郭と、その人を欲しいと思う気持ちの細部を追っていくタイプだろう。声を張らない物語ほど、読み終えたあとに長く居座る。私はそういう作品を、何度も思い返すことになる気がしている。
向いている人:心理描写の濃いゲイ・BLを読みたい人。関係の機微を時間をかけて味わいたい人。
少し注意:テンポの速さや軽い読み口を求めると、静かすぎると感じるかもしれない。手触りが現実寄りになる場面もあり、甘いファンタジーを期待すると印象が違う。
名前ひとつで始まる物語が、どんな男の輪郭を描くのか。静けさが似合う夜に、ゆっくり開いてほしい。
価格・配信状況は変わることがあります。最新は公式でご確認ください。